076965 ランダム
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Lee-Byung-hun addicted

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Jealousy × Jealousy 4

Jealousy × Jealousy<4>



「遅かったね。」
ビョンホンが家に着くといつものように揺が飛び出して出迎えた。
「皆を待たせるのも悪かったから先に始めてもらったわ。私は貴方が焼いてくれたお肉食べたいから待ってたけど。」
揺はそう言ってニヤリと笑った。
リビングからは明るい笑い声が聞こえる。
「 ごめん。ちょっと急用が入っちゃって。」
何だか帰るのが気が重くて事務所で時間を潰してたとは言えない。
彼は適当な言葉でその場を取り繕った。
「手を洗ったらすぐに行くから。先に行ってて。」
「うん。じゃご飯よそって待ってる。」
揺はニッコリ笑ってそう言うとリビングに消えた。

全く…俺はいつからこんな嫌な奴になったんだ。
こんな時間まで夕食を食べずに待っていた揺の笑顔を見るとわざと時間を潰して帰って来た自分が情けなくて仕方がなかった。
俺は一体何にこだわっているんだ・・・。
洗面所の鏡に映る自分の顔を見ながらビョンホンは呟いた。

宴会は盛り上がっていた。
ビョンホンは場の雰囲気を悪くしないように必死で取り繕うが何を話しているのか自分でもよくわからなかった。
心ここにあらずというのはこういう時の言葉なのだろう。
彼はそう思った。
何を話していても街角で見た揺の笑顔が浮かんだ。
そして今、横に座っている彼女も笑っていた。同じ笑顔で。
それの何が気に入らないのか自分でもよくわからない。
ただ・・あの時の感情が今の自分の不快さに繋がっているのだけは確かな気がした。

「ビョンホンssi…お肉焼きすぎじゃない?」
いつもなら揺のいい加減な焼き方をたしなめながら最高の焼き加減の肉を揺のお皿に次々載せてくれるはずの彼なのにこの日は考え事をしているのか…鉄板の上で最高級カルビが真っ黒になっていた。
「具合悪い?」心配する揺に
「いや、ちょっと疲れたかな。」
浮かない顔で彼は答えた。
「オッパ、早く休んだ方がいいわ。片付けは晋さんと私が手伝うから」
ウニが気を利かせて促した。
「ああ。そうさせてもらうよ。お父さん、お母さんすいません。折角来ていただいた最後の夜なのに」
ビョンホンは丁寧に頭を下げた。
「とにかく早く休ませていただきなさい。ごめんなさいね。折角の夜なのに」
心配そうにそう言いながら幸太郎と綾に詫びる母を眺めながら彼は罪悪感に胸が痛んだ。
晋作は珍しく茶々を入れることなくビョンホンを見つめている。
ビョンホンは彼と目を合わせることなく席を離れた。

「大丈夫?・・・何かあったの?」
ベッドに腰を下ろすと隣に座った揺が心配そうに彼にそっと訊ねた。
「いや・・・。いや、そうだね。あった。確かに。揺は今日楽しかった?」
(俺は何を聞いているんだ・・・。)
ビョンホンは自分でも気がつかないうちにそう口にしていた。
「うん。楽しかったわ。みんなでお買い物に行ったのよ・・そしたら・・」
揺は話しながら楽しそうに笑っている。
彼女が何を話しているのか何故か耳に入ってこない。
思い出すのは今日街中でソフトクリームを舐めて楽しそうに笑っていた彼女の笑顔だった。
「そうだね・・とっても楽しそうだった・・」
「え?見かけたの?だったら声掛けてくれればよかったのに」
揺は残念そうに言った。
彼に会えなかったことを残念がる彼女に向かって彼は言った。
「あんまり楽しそうだったから声を掛けそびれたんだ・・。君は・・誰に差し出されてもあんな風に楽しそうにソフトクリームを舐めるのかな。」
「え?」
冷たく尖ったその物言いに揺が驚いているのがわかった。
俺は一体何を言っているのか・・・酔うほどは飲んでいないはずなのに・・自分が今彼女に向かって言った言葉が何を意味するのか・・彼は自分を呪いたくなった。
二人の間に沈黙が流れる。
先に言葉を口にしたのは揺だった。
「それは・・・・わからないわ。あの時は舐めたいから舐めて笑いたいから笑った。それだけだから・・。自分で気づかないうちに自分のしたことが人を不愉快にしているなんて・・考えてみたこともなかった。何だかショックだな・・・。
謝るべきなのかどうかも・・・今はわからない。きちんと答えられなくてごめんなさい。」
「いや、僕の方こそ・・・ちょっと疲れてるのかもしれない。変なこと言って・・すまなかった」
ビョンホンはそういうと大きくため息をつき額に手をあてた。
「ううん。でも・・・・・。今日はお互いゆっくり休みましょう。ちょうどウニちゃんに相談があるって言われてるから、今夜はウニちゃんの部屋で休むから。気にしないで。」
「揺・・・」
「ごめんね。怒ってるわけでも悲しいわけでもないと思うんだけど・・今は一緒にいられそうにないわ。勝手言ってごめん。今夜は別々に休みましょう。・・・ゆっくりして。おやすみなさい。」
揺は力なくそういうと静かに部屋を後にした。
ドアの閉まる音がして彼は一人になった。
揺と晋作の関係についてはすべて理解しているつもりだった。
晋作が命の恩人だということも最高にいい奴だということもすべてわかっている。
そして揺が自分を選んで今、自分のそばにいつもいるという事実。
毎晩のように愛し合い自分の腕の中で彼女が目覚める幸せを毎日実感している。
なのに・・・何故あんな疑念が湧いたのか。
何故、彼女の気持ちを疑うような言葉を口にしたのか。
そう。これは嫉妬だ。紛れもない嫉妬心。
そして独占欲が自分の心の中に疼いているという事実を彼は目の当たりにしていた。


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